Bennett Graphics社の成長への挑戦
Bennett Graphics 社では、新しいアイデアやプロジェクトが、顧客からの何気ない一言をきっかけに始まることが多い。 「もしこんなことができたら?」
「これって実現できる?」
そんな問いに対して、「できません」で終わらせるのではなく、どうすれば実現できるかを考え、 具体的なソリューションへとつなげていく 。それが同社の強みだ。 同社の社長を務めるDavid Bennett氏も、40年以上にわたって自社に問いを投げかけ続けてきた。
「私たちが持つ人材、技術、そして挑戦し続ける力を、どうすれば顧客の成長に役立てられるだろうか?」
「新しいテクノロジーを取り入れることで、どんな価値を生み出せるだろうか?」
「そもそも、印刷にはまだどんな可能性があるのだろうか?」
こうした問いを常に持ち続け、新しい技術やアイデアを積極的に取り入れてきたことが、Bennett Graphicsの成長につながっている。
現在も同社では、顧客のアイデアを具体的な成果へと落とし込み、さまざまな業界のクライアントが求めるものを形にしている。
「印刷会社」の枠を超え、顧客のブランドを支える
Bennett Graphicsの歴史は、1968年に「Bennett Brother’s Printing」として創業したところから始まる。
創業当初から、社員同士が協力し、好奇心を持って新しいことを試す文化が根付いていた。
社員には、単に決められたものを印刷するのではなく、自分たちもクリエイティブなプロセスの一員だと考えることが求められている。
David氏が好んで使う言葉が「test and see」、つまり「まずは試してみる」だ。
実際にやってみて、結果を確かめる。そして、そこから「顧客の成果をもっと高めるにはどうすればいいか」を考える。
Bennett Graphicsは、デジタル印刷をはじめとする新しい技術にもいち早く取り組み、2013年には世界で初めて量産モデルの「HP Indigo 10000 Digital Press」を導入した。
現在では、デジタル印刷、オフセット印刷、大判印刷、UVインクジェット、ラテックス印刷など、幅広い印刷技術を扱う企業として知られている。
しかし、同社が提供しているのは、印刷そのものだけではない。
たとえば、マーケティング担当者やインハウスのクリエイター、広告代理店などが新しい企画を検討している場合、アイデアの調査から見積もり、企画のブラッシュアップまでサポートする。
「こんなダイレクトメールは作れるだろうか?」
「通常とは違うサイズの商品を作りたい」
そんな相談に対しても、デザイン、試作品の制作、テスト運用まで対応する。
紙の質感を活かした表現や箔押しなど、ブランドの印象を高める加工にも対応している。
さらに、ラベルや軟包装を使って、商品が店頭に並んだ瞬間にブランドのストーリーを伝えることもできる。
そして、制作した素材や画像、完成品、データなどをいつでも確認できるよう、顧客が必要な情報へ24時間アクセスできる環境も提供している。
つまりBennett Graphicsは、単に「印刷を請け負う会社」ではない。
顧客のブランドやマーケティング活動を、印刷という領域から支えるパートナーとして事業を広げているのだ。
プロダクションインクジェットへの挑戦
「私たちは常に、競合との差別化につながる方法を探しています」
そう話すDavid氏は、印刷業界のコミュニティ「Dscoop」のグローバルボード議長も務めている。
その姿勢を象徴するのが、2023年に導入した「HP PageWide Advantage 2200 Press」だ。
この最新鋭の印刷機を導入した最大の目的は、競合との差をさらに広げ、新たな市場を開拓することだった。
「私たちにとって、大きな一歩でした」
David氏がそう語るように、これは同社にとって初めてのプロダクションインクジェット印刷機だった。
Bennett Graphicsがデジタル印刷に参入したのは約10年前。Indigoの印刷機を導入した当時、David氏は大きな可能性を感じていた。
「デジタル印刷なら、従来のオフセット印刷よりもスピーディーに顧客へ対応できるうえ、利益率も改善できると考えていました」
しかし、デジタル印刷が広く普及するにつれ、それだけでは競合との差別化が難しくなってきた。
「デジタル印刷そのものが一般的になっていく中で、次の成長につながる新しい手段が必要になりました」
そこで導入したのがHP PageWide Advantage 2200 Pressだった。
この印刷機は、薄い用紙を高速で印刷できることが大きな特徴だ。大量の印刷物を短納期で仕上げる案件に適しており、同社が注力するダイレクトメールや高品質な出版物の生産能力を大きく引き上げた。
「1冊ずつ異なる本を印刷するような仕事ではありませんが、1日に100種類ものSKUを扱うことはあります」
「すべてを一つのラインで処理して、そのまま仕上げまで完了できるので、非常に効率がいいんです」
さらに、コスト面でもメリットがある。
ロール紙はIndigoで使用する用紙よりも大幅に安く、あらかじめ特殊な処理を施した用紙を用意する必要もない。
顧客が求めているのは「どの機械で印刷したか」ではない
David氏によれば、顧客の多くは、どの印刷技術を使うかそのものにはこだわっていない。
昨年、米国オレゴン州コーバリスで開催されたHPのイベントで、David氏はこう説明した。
「顧客が知りたいのは、納期どおりに仕上がるか、品質に問題がないか、そして予算内に収まるか。それだけです」
つまり顧客にとって重要なのは、「Indigoで印刷したか」「PageWideで印刷したか」ということではない。
必要なものを、求める品質で、予定どおり、適正なコストで届けてもらえるかどうかだ。
PageWideの導入によって、Bennett Graphicsは既存顧客に対しても、これまでとは違った提案ができるようになった。
同時に、これまでなら対応できなかった案件をきっかけに、新たな顧客へアプローチする機会も生まれている。
「PageWideによって、既存のお客様とはこれまでとは違う話ができるようになりました。そして、以前なら接点を持つことすらできなかった新しいお客様にも、アプローチできるようになったのです」
その可能性を裏付けるように、HPはdrupaで、 PageWideの顧客が15年間で累計1兆ページを印刷した と発表した。 HP PageWide Advantage 2200 Pressは、ドイツで4年に一度開催される世界最大級の印刷業界イベント「drupa」で、7つの受賞製品の一つにも選ばれた。
さらに、2023年にはPrinting United Allianceの「Pinnacle Award for Technology」も受賞している。
新しい機械だけではない。人材も変える
新しいテクノロジーを導入すれば、それに合わせて仕事の進め方も変えなければならない。
そう考えたDavid氏は、印刷機の導入と同時に、社内の人材・組織体制も強化した。
その一環として採用したのが、Richard Hawes氏だ。
インクジェット輪転機に関する豊富な経験を持つRichard氏を、Operations担当のVice Presidentとして迎え入れた。
ロール紙を使う印刷は、従来のシート紙を使った印刷とは大きく異なる。
「ロール紙への印刷は、シートへの印刷とはまったく違います。仕上げ工程が、そこから逆算して前工程を決めていくんです」
しかし、当時のBennett Graphicsには、この分野の専門知識が社内に十分に蓄積されていなかった。
「だから、この分野で豊富な経験を持つRichardを外から迎え入れました」
さらに、データ部門の体制も強化したほか、ダイレクトメールの経験が豊富なScott Ford氏をSales担当のVice Presidentとして採用した。
これも、今後の成長を見据えた戦略的な判断だった。
ダイレクトメールは、Bennett Graphicsにとって特に成長が期待される分野の一つだからだ。利益率が高く、新たな収益源にもつながるため、同社はこの市場への対応力をさらに高めようとしている。
次の5~7年をどう生かすか
David氏は、Bennett Graphicsのこれからに大きな期待を寄せている。
特に、HP PageWide Advantage 2200 Pressがもたらす新たなビジネス機会に注目している。
「この技術がさらに一般化して、差別化が難しくなるまでには、おそらく5~7年ほどあるでしょう」
だからこそ、その期間を最大限に活用する。
他社にはない商品やサービスを生み出し、競争力を維持しながら、新たな市場を開拓していく考えだ。
目指しているのは、単に新しい印刷機を導入することではない。
その性能を最大限に引き出し、新しいビジネスを生み出すこと。そして、人材のスキルも継続的に高めながら、業界の新しいスタンダードをつくっていくことだ。
最先端のテクノロジーへの投資と、人材・組織への投資。
その両方を続けることで、Bennett Graphicsは長期的な成長を目指している。
「これって、実現できるだろうか?」
「これって、実現できるだろうか?」
David氏とチームは、これからもこの問いを投げかけ続ける。
そして、そのたびに新しい可能性を探していく。
「私たちは常に、競合より一歩先を行くために、次に何ができるのかを探しています」
Bennett Graphicsの成長を支えているのは、まさにこの姿勢なのかもしれない。
「できるかどうか」を考えるだけで終わらせない。
まず試してみる。
新しい技術を取り入れる。
人材を強化する。
そして、そこから次の可能性を見つけていく。
Bennett Graphicsは、これからも「これって実現できる?」という問いを起点に、印刷の可能性を広げ続けていく。