これまで顧客はGoogleなどの検索エンジンで企業を探していました。しかし、その購買行動は今、大きく変わり始めています。
検索する代わりに、AIへ直接質問するようになっているのです。
「高品質な折りたたみパッケージ(Folding Cartons)を得意とする会社は?」
「医薬品ラベルの実績が豊富な印刷会社は?」
「環境に配慮したパッケージを提供している企業は?」
つまり、顧客が最初に接する営業担当者は、もはやあなたの会社の社員ではありません。
ChatGPT、Claude、Gemini、Perplexityといった生成AIが、その役割を担い始めています。
重要なのは、AIは単にWebサイトの一覧を表示するだけではないということです。AIは「おすすめの会社」を提示します。もしあなたの会社がその推薦リストに入っていなければ、比較検討の候補にすら入れない可能性があります。
BtoBでは、AIによる顧客の購買行動の変化が想像以上のスピードで進んでいるのです。
調査会社Forresterによると、BtoBの購買担当者は一般消費者の約3倍のスピードでAI検索を利用しており、新しいサービスや取引先を探す際の主要な情報源になっています。
現在では、ほぼすべての企業の購買担当者が、
など、購買プロセスのどこかで生成AIを活用しています。
なぜBtoBのほうがAI活用が進んでいるのか?
それは、企業の購買には複雑な判断が必要だからです。
例えば一般消費者なら、「近くで一番おいしいピザ屋は?」と質問する程度でしょう。
一方で包装資材の担当者は、「高級パッケージに強く、医療業界での実績があり、バリアブル印刷にも対応し、北米で製造できる会社は?」というように、複数の条件をまとめてAIへ質問します。
従来の検索エンジンは「関連ページへのリンク」を返していました。しかしAIは、それらの情報を統合し、「最適な答え」を提示します。これは、企業との出会い方そのものが変わる、大きな転換点と言えます。
印刷業界は「信頼」で選ばれる業界です。印刷会社が提供しているのは、単なる印刷物ではありません。
顧客は、
といった重要な仕事を印刷会社に任せています。
つまり、昔から印刷業界は「信頼」が何より重要でした。そして今変わっているのは、「信頼の築き方」ではなく「信頼が見つけられる方法」なのです。
印刷会社(PSP)が理解すべき3つの変化
① AIが最初の営業担当者になる
見込み顧客は、あなたのWebサイトを見る前や営業担当へ問い合わせる前に、すでにAIへ質問しています。
例えば、
などをAIに比較・整理してもらっています。
つまり、営業が始まる前から、顧客はある程度の結論を持っているのです。
AIに推薦された会社は、有利な状態で商談をスタートできますが、逆に推薦されなかった会社は、比較対象にすら入れない可能性があります。
② AIはGoogleとは違う基準で「信頼」を判断する
Googleが評価していたのはWebページでした。
一方AIが評価しているのは、「この会社は本当に信頼できるのか」という点です。
AIは企業の自己紹介だけを信じません。複数の第三者情報を照らし合わせながら判断しています。
Forresterによると、AI検索ではGoogle以上に「社外での評価」が重視されます。
例えば、
などです。
つまり、自社のWebサイトだけが企業の顔ではなくなったということです。
AIは以下のような情報も企業評価に活用しています。
こうした情報すべてが、「この会社は信頼できる」というAIの判断材料になります。
ここで重要なのが「Trust Flywheel(信頼の好循環)」です。
①顧客の成功事例が増える
↓
②専門知識を発信できる
↓
③第三者から紹介・評価される
↓
④AIからの信頼が高まる
↓
⑤新しい顧客を獲得できる
↓
⑥さらに成功事例が増える
このサイクルが回ることで、AIから推薦される可能性も高まっていきます。
③ 候補企業に入ると、AIはあなたのコンテンツを引用し始める
AIから候補企業として認識されると、今度はあなたのWebサイトの役割が変わります。
最初にAIが確認するのは、「この会社は信頼できるか?」ということです。
その次に確認するのは、「この会社は質問に答えられるだけの知識を持っているか?」ということです。
そこで重要になるのが、自社サイトのコンテンツです。
例えば、
などです。
こうした情報が充実しているほど、AIはその内容を引用しながら、顧客の質問へ答えられるようになります。Forresterも、「購買プロセス全体を通して顧客の疑問に答える、質の高いコンテンツを持つ企業ほどAI検索で評価されやすい」と指摘しています。
AI検索は、印刷会社にとって大きなチャンスでもあります。AIによる変革は、新しいアルゴリズム対策やSEOの代替ではありません。重要なのは、顧客の行動そのものが変わったという事実です。
AIは今後、
という一連の購買活動の入り口になっていきます。
その中で成功する企業は、最も広告費を使った会社ではありません。AIが理解しやすく、信頼しやすい会社です。そして、それは結果的に顧客からも選ばれやすい会社になります。
AI時代に問われる本当の課題
これから重要なのは、「顧客があなたのWebサイトを見つけられるか」ではありません。
本当に問われるべきなのは、
「AIがあなたの会社を、自信を持っておすすめできるか。」
そこが、これからの企業の競争力を左右する時代になっています。
あなたの会社は、AI時代にどれだけ「見つけてもらえる」存在ですか?
ぜひ業界アンケートにご回答ください。(英語)
https://dscoop.typeform.com/to/G7Kl1jJG?typeform-source=community.dscoop.com
出典
Forrester Research
How to Stand Out in a Zero-Click World: Master AEO, Build Influence, and Earn Trust(2026年)