2023年8月、台湾のWan Lang 印刷株式会社の活気あふれる28歳の副社長兼営業部長であるJenny Linは、Dscoopバリサミットで変革的な経験をしました。この経験は彼女のキャリアに大きな影響を与えました。Jennyの経験を際立たせていたのは、Dscoopは単なるネットワーキング以上のものを提供しているという認識でした。それは自己成長のためのプラットフォームだったのです。
バリイベントでできた新しいつながりに刺激を受け、Jennyは世界中にネットワークを広げる可能性があることを認識しました。この啓示により、彼女は台湾を代表するDscoop APJ委員会メンバーになることを決意しました。2024年1月25日、彼女は史上初の中国語によるDscoop ミートアップを主催し、中国、台湾、マレーシア、シンガポール、オーストラリアからの参加者が集まりました。
私たちはJennyのエネルギー、強さ、そしてアイデアに刺激を受けています。彼女の印刷業界でのキャリア、若い印刷業界のプロとしての長所と短所、他人から学んだこと、そして彼女自身の成長などについて語ったインタビューをお楽しみください。
Dscoop:お時間をいただきありがとうございます! これまでの印刷業界でのキャリアはいかがでしたか?
Jenny Lin:私は元々人と接する接客業出身で、印刷業界に慣れるまでは、異なる文化、人、働き方などへの適応が大変でした。しかし、ホテルで顧客と向き合う経験はすべて感謝しています。問題解決、作業効率、コミュニケーション、トラブルシューティング、適応力、創造性、ストレス下での働き方を学んだのです。これらの経験はすべて、印刷業界でさまざまな顧客からの苦情、印刷物の問題、さまざまな業界やバックグラウンドの人々との絶え間ないつながり、デザインの作成、新製品の開発などに対応する上で非常に役立っています。
今の仕事に愛着はないだろうと思っていましたが、だんだんと人と接するのが得意で、外向的で、ポジティブ思考なので、どんな状況でも前向きに捉え、毎日自分自身に挑戦するのが好きなのだと気づきました。自分の持ち合わせるすべての資質を生かし、人とのつながり、思い出、スキル、経験をこの業界から得ることができます。これ以上の幸せはないと思います。
DSCOOP: 女性経営者として、どのような独自の課題や機会に直面してきましたか?
ジェニー・リン:台湾の印刷業界、特に女性として、最初はいくつかの理由で大変でした。まず、入社前はスイスでホスピタリティを学んでいました。サービス・人と向き合う業種から伝統的な生産志向の業種への移行は大きなものでした。台湾の職場文化は、人々がどのように働き、コミュニケーションを取り、問題に反応するのかが他とは大きく異なります。
第二に、特に台湾やアジア全般の業界の営業としては、お客様とのつながりは接待、飲み会、イベントなどを通じて築いていくものですが、個人的には女性にとってはるかに危険だと考えています。また、世界中で女性の権利と平等が進んではいるものの、印刷業界自体、印刷オペレーターや営業に男性の方が多く採用されています。そのため、職場の人や顧客が私の言いたいことを本当に聞いてくれず、イライラすることもあります。
しかし、物事には常に賛否両論があり、印刷業界における女性も同じです。仕事への献身を示し、しっかりと話し、強く行動すれば、説得力と信頼性が増すと考えられます。それは私の営業成績にも大きく貢献しています。また、私は思いやりがあり、創造性豊か(顧客の商品デザインの援助に関して)、色に敏感で、顧客の感覚に語りかけて提案をするのがとても上手です。これらはすべて、売上を伸ばし、ターゲット市場からの信頼を得るのに役立つ資質です。
持つすべての資質を生かし、この業界で人脈、思い出、スキル、経験を積むことができるのです。これ以上の素晴らしいことがあるでしょうか?
DSCOOP: Wan Long 印刷は家族経営ですよね。ご家族の期待とあなたのキャリア選択はどのように一致していますか?
ジェニー・リン:家族経営で働くことは決して簡単ではありません。より良い未来に向けて会社を率いてほしいという上司(父)からの期待があります。販売拡大に頼っている同僚や社員がいます。会社のために目標を達成することを期待し、待っている家族がいます。 あまりにも多くの目が向けられ、達成すべきストレスと目標が多すぎます。しかし、私は心優しい強い独立女性だと思います。入社以来、同僚とのより良い関係作り、社員の話をよく聞く、思いやりのあるマネージャーとして人を助け、問題をただ述べるだけでなく解決策を見出すよう促すなど、毎日会社の中で違いを生み出すために最善を尽くしています。より良い、より幸せな職場を作るために。
父のモットーである「失敗の言い訳を探すのではなく、成功への道を探す」という言葉通り、家族経営に参加し、営業部長になるということはこれまで素晴らしい実りある経験でした。これからも従業員だけでなく、家族、地域、私たちを必要とする顧客、そして社会全体にとって、より面白く、革新的で、環境に優しい会社にする道を模索していきます。
DSCOOP:若い専門家として、あなたの年齢はどのような利点と課題をもたらしますか?
ジェニー・リン:利点としては、私の世代はより率直に意見や考えを言います。それは私たちの良い点の一つだと思います。私たちはより直接的で、誤解のないコミュニケーションにつながることがありますし、ブレストーミングを通してより良い解決策を生み出すこともあると思います。さらに、イノベーションと創造性を好みます。これらはユニークな材料(例えば、エコインクやリサイクル可能な材料)やデジタル印刷を活用する方法など、生産工程全体を向上させるのに役立ちます。また、私たちは新しいアイデア、年配の方々の経験、過去の失敗から学んだ教訓を組み合わせて、業界にとっての機会に変えることができる、頭の回転が速い人種です。
欠点としては、年配の方とのジェネレーションギャップが常に障害となっています。考え方も行動様式も全く異なります。そのギャップはコミュニケーションミスや誤解につながり、自己向上や挑戦を妨げることも多々あります。
長年会社に勤めている社員は、変化を望まないか、変化を恐れているかもしれません。時間はかかります。どんなに大変でストレスフルに見えても、私たちはポジティブな力を捉えて、未来の戦いに必要なより良い力に変えていくことが仕事だと思っています。また、アイデアや提案を組み合わせ、より良く、強く、ユニークなものを作っていくことも私たちの責任です。
DSCOOP:あなたは毎週少なくとも10時間は車を運転しており、台湾中部から北部地域へ営業訪問や顧客との関係を築くために週2日は運転することが多いとのことです。デジタル技術が進化し、多くの人がオンライン会議や電話を好む時代に、あえて対面コミュニケーションの伝統的なルートを選んだわけですが、そのように時間をかけることでどのような洞察や気づきを得ましたか?
ジェニー・リン:顧客に直接会うために長距離運転するのは決して楽な仕事ではありません。しかし、営業職として、顧客と直接会うという個人的な交流を維持することは非常に重要だと思います。台湾には「見面三分情」ということわざがあり、直接会うと電話やテキストでのコミュニケーションよりも30%も関係性が深まるという意味です。また、私は若い世代ですが、実はとてもメールが苦手ですし、デジタル製品も苦手です。携帯電話よりもノートとペンで実際に書き留める方が好きです。だからこそ、家族や友達に会うように顧客と直接話すのが好きです。
また、問題が発生したり、顧客があなたを必要としているとき、顧客の会社で直接状況を把握し、その場で解決策を提供することができ、それがアフターサービスや顧客との関係構築において有利に働きます。一度このような形で関係を築くと、後は簡単になります。顧客はどんな問題があってもあなたを頼り、新しい注文が入ってもあなたを思い出し、どこにいてもあなたを思い出すようになるからです。インターネット、メール、電話を使った広告よりも優れた営業促進力ではないでしょうか?
DSCOOP:あなたのキャリアにおいて、誰が一番のサポート役であり、どのようにあなたの個人としての成長や仕事上の成長に影響を与えましたか?
ジェニー・リン:会社社長である父親から多くの期待をかけられ、プレッシャーを感じるのは事実ですが、一番のサポートをしてくれたのは彼だったと思います。スイスでの学業を終える前から私に会社に入るように勧めていました。5年間ずっと、ほぼ半年ごとに少しでも検討するようにと私に説得してきました。今考えてみると、私が仕事ができることを私が気づくよりもずっと前から、彼は私の能力を認めてくれていたのだと思います。
また、入社から3ヶ月で営業部全体の責任を私に任せることで、職場でも最大限のサポートをしてくれました。彼は私ができることを知っていたのだと思いますし、短期間で成長する機会を与え、限界に挑戦させ、実践を通じて学ぶことで私を導いてくれたのだと思います。
また、今の自分になれたことを自分自身にも感謝しています。人生で経験したことすべてが今の私を作り上げており、この家族の中で育ったことで得た良い人間性が仕事と人生の浮き沈みを乗り越える助けとなってくれました。今の自分が大好きですし、何よりも、今の自分が一番大切です。
DSCOOP:メンターシップや指導を受けたことはありますか?もしあれば、それはあなたの仕事と人生へのアプローチにどのような影響を与えましたか?
ジェニー・リン:私はもともとよく考えるタイプです。仕事でもプライベートでも問題に直面すると、解決策をあれこれ考え、決断した場合のあらゆるシナリオを考えます。しかし、業界で3年働いて、時には自分だけでは足りないことに気づきました。助けやアドバイスを求めるのは悪いことではありません。質問をするのもいいことです。そして、チームワークも欠かせません。業界や今の世の中を一人で戦っても何も得られません。印刷業界で働いていると、さまざまな業界の人々と出会います。彼らは皆、人生や仕事からさまざまな経験を積んでいます。
DSCOOP: この業界は、特に若い専門家にとって、より多様性をサポートし、奨励していくために、どのような取り組みができると思いますか?
ジェニー・リン: 特に台湾において、業界はより透明性が高く、お互いにオープンであるべきだと思います。業界全体の成長のために、コミュニケーション、協力、コラボレーション、そして経験共有を通して共に取り組むべきです。厳しい時代には厳しい対策が必要であり、昔は価格競争が全てで、より安い方が受注していました。しかし、今の世界では、全ての顧客が新しくてユニークなものを求めているため、もはや業界を先に進める方法ではありません。価格競争のゲームを続けるのではなく、スキルと印刷技術の向上、デザイナーへの印刷プロセス理解の促進、顧客にエコフレンドリーな思考など、新しい考え方を促すために、全員で協力して顧客を教育し、全体の概念を変えていくべきです。そうすることで、業界全体としての未来を切り開くことができるでしょう。
DSCOOP: 仕事以外では、どのような趣味や情熱を持っているのですか?
ジェニー・リン: この業界ではストレスが多いので、週に最低3回はジムに行って1時間のトレーニングやボクシングをしています。その時間中はただリラックスして、自分以外のことを考えずに済みます。時間があれば旅行にも行って、ビーチで日光浴をして、ウェイクボードやサーフィンなどのウォータースポーツを楽しみたいです。
DSCOOP: 今後、キャリアで達成したい具体的な目標や、今後数年間で目指している個人的なマイルストーンはありますか?
ジェニー・リン: 4つあります。
* AIデザインソフトウェアの使い方を学ぶ
* EMBAプログラムを通してより多くのつながりを築く
* 時間管理を改善する
* よりユニークな製品を生み出す
DSCOOP: ジェニーさん、ありがとうございました!
ジェニー・リン: こちらこそ、ありがとうございました!